寿司を作ってください!無理ですから勘弁してください

日本人といえば寿司。海外ではこの2つは固い絆で結ばれています。

「日本から来ました。よろしくお願いします」
「Oh!ス~シ~!」

「寿司ではありません。日本です」と言いたい。だけどざわめく心を抑えて、愛想笑いをしました。来日したことのない日本好きな人に挨拶をすると、たまにこういった反応をもらうことがあります。言っておきますがほとんどの方は普通です。たまにいる、というだけです。

でもね、ナイスミドルなおじ様が目をキラキラ輝かせて「ス~シ~」とか「サムラ~イ」とか言われると対応に困ると言いますか…そんな感じです。大抵は日本のイメージを口にしているだけですから連想ゲームみたいなものだと諦めるしかありません。

ただ日本のことに興味を持ってくれているということですからね。やっぱり嬉しいものです。しかし困るのは「日本人は寿司を作れる」と思っていることです。思うだけなら自由ですけど…思うだけならね?

「寿司を作ってください」

無理ですから。お願いだからキラキラした目を向けないで~。こんなふうに心の中で騒いだ経験があります。しかし言わなければ伝わらない。非常に残念なお知らせですが「ごめんなさい。作り方を知りません」と言いましたよ。頑張りましたよ。

そしたら案の定、落胆されました。ズキッと心が痛みましたが言わずにいられませんて。だって、料理については門外漢なんですもの。心の痛みに負けて急遽親に連絡して作り方を教えてもらいました。とはいえ、作り方が分かっても作れるとは限りません。

最後の手段で「みんなで作りましょう」と宣言して一家総出で作りました。それなりに近い味になったような気がしないでもないような。ただし手巻き寿司ですけどね。

握り寿司は長い修業期間を得て習得する技術です。素人が下手に真似をして作ると、これが日本の寿司だと誤解される恐れがありましたからね。我ながら素晴らしい案だったと思っております。誰でも分かることですけどが…。

そんなこんなで無事乗り越えましたが日本の寿司の人気は高まっています。ほとんどの方はご存知でしょうが寿司専門店も海外進出をしております。中には怪しい手つきで日本人風の人が寿司を握っているところもありますけどね。

寿司の良し悪しは、貧乏舌の私には分かりません。同じように寿司を食べたことのない人にも分かりません。だからって、寿司まがいの料理を日本の寿司として出すのはいかがなものかと思わなくもありません。ただ、そうはいっても、日本だって回転寿司とかは機械で作ったりしてますからね。似たり寄ったりですか。

聞いた話しでは高いお寿司は口に含んだときに、ほろほろとシャリが崩れるのだそうです。もちろん新鮮なネタも大事ですがネタは新鮮なら大抵は美味しいですからね。とか思っていたらネタのさばき方もいろいろあるようです。筋目に垂直に入れる。筋目に沿って包丁を入れる。などなど、あるようなのです。うーん。奥が深い。

日本料理は包丁さばきも芸術ですし、その包丁から生み出される繊細な日本料理に魅了されている海外の人も多くいます。同じ日本人として鼻高々ですが私には関係ないんですよね。なんたって私が作れるわけではないので。変に調子に乗ってまた作れと言われると悪夢の再来となります。それだけは避けたい。避けなければならない。

日本人が寿司を作れる、日本料理を作れるといった海外の誤解に振り回される日本人。それは私のことです。次からは「日本料理は芸術だから私にはできません」と言ってやろう。そう考えていると不思議なもので誰からも聞かれないんですよね。逆に言いたくて仕方がない今日この頃です。